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50円玉にぎりしめた頃
40年も前は、子どもの遊び場で、よくよじ登って遊んだが、たたりはなかったと思う。その頃、四のつく日は地蔵様の縁日があって、結構多くの露店(30軒くらい)が出ていた。それが子どもたちには楽しみで、10円もらって買い食いにいくのが待ち遠しかったのです。 その中におとなしい夫婦がやっている「フジタ焼き」というお好み焼き屋があり、水で溶いた小麦粉をすごく薄く鉄板で焼き、具はこれもまたものすごく薄く斜めに切った魚や肉、ソーセージを二つずつポツリポツリとのせ、ソースを刷毛で塗り、経木にのせる。ただそれだけのものなのだが、それが無性に美味しく、10円のこづかいはほとんどフジタ焼きになった。 時々、突発的に50円くれることがあり私は興奮した。その大きな50円玉を握りしめ、縁日でフジタ焼きを買い、それを食べながら、あとの40円で何を買うかと露店を物色するのが楽しい。私の頭には貯金をしたり、明日のために残しておこうなどという考えは爪の先ほどにもなく、とにかく50円きっちり使い切ってしまうのでした。 ゴムでできたクモだとか、たたくと「ポン」と音がするトンカチ、ザリガニだとかのガラクタを買い込んでは、帰ってから怒られるのでした。 その縁日も年々少なくなり、私が12歳の時を境になくなってしまった。 |