![]() |
![]() ![]() |
| ||
山と釣りを語りあった
現地での宿泊は、現場から歩いて10分程度の民宿。屋号を「一休」といい、食事はおいしくて、毎週火曜日と木曜日には必ず馬刺しがつきました。この日が、馬肉の出荷日だったからです。 忘れられないのは、民宿に同宿していたKさんのこと。埼玉県から松本市内の工事現場に来ていた大工のKさんは、私と年齢も趣味も同じで、毎晩仕事の後の晩酌をしながら、語り合っていました。 彼も私も趣味は山登りに渓流釣り、そして酒ときては話が合わないはずはありません。私の山登りは10代の頃からで、丹沢の沢登りから始まり、四季を通じての八ヶ岳や南北のアルプス、奥秩父などと30歳すぎまで続きました。Kさんも同じく15歳くらいからで、主に奥秩父や奥武蔵の山行きから始まり、南アルプスから北アルプスへ。そして、冬山へとのめりこんでいったようです。しかし、30歳で結婚してから冬山はやめたといいます。冬と夏で山の危険度は10倍違います。家族のことを思えば、冬山へは行けません。松本で私とKさんが出会ったこの頃は、二人とも同じく夏の尾根歩きが主な山行きとなっていました。 そのKさんも今はもういません。趣味の酒がもとでこの世を去りました。彼に会えたら、また酒を酌み交わし、山や釣りの話をしたいと思っています。 (武蔵野)
|