2つの大きな体験
好きな鉄道から元気を

鉄骨 菅谷政一
 鉄道フアンの私の場合、「忘れえぬこと」は二つあります。
 一つは昭和63年3月、青函トンネルの開通で、上野から札幌まで寝台特急「北斗星」が誕生したことで、さっそく、札幌から上野に向けて乗車した時のことです。青函トンネルの青森側出口8キロメートル手前で、機関車が故障し4時間も立往生しました。幸いエアコンや照明は働いていたので、何の不便も感じませんでした。
 それにもまして、当日乗車していた人たちは大半が鉄道フアンだったので、この4時間を楽しんでいたようでした。なかなかできる体験ではないので、今でも一つの思い出になっています。
 もう一つは、記憶にも新しい昨年10月23日、あの中越地震に会津若松市で遭遇。翌24日のイベントではSLが新潟と郡山へ向け、同時に発車する予定でした。そのため前日に会津入りしてホテルの部屋での体験です。今まで東京で感じた揺れとはやはり違いました。テレビのニュースでは、各地の大きな被害の様子や新幹線の脱線も含めて大きな被害が流されていました。『もしかしたら帰れないかも』との思いがよぎりました。
 イベントの中止は仕方がないとあきらめ、会津若松駅に行くと「本日のイベントは予定通り実施いたします。駅長」との張り紙。思わず『やった』と叫んでしまいました。そしてまもなく1年になりますが、私の“鉄道歴”に残る大きな体験でした。
 そして今年も9月24日のイベントに再び会津に行ってきました。昨年と車両もちがい、好きな鉄道から元気をもらうことができました。昨年のイベントと合わせて心に残るできごとになりました。
(北)