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東京下町の瓦礫に呆然
そして、これに反抗すれば、ただちに苛酷な「国賊」よばわりの容赦ない制裁が加えられました。「正ちゃん甲種合格おめでとう。武運をお祈りするのに、今日これから成田山にお詣りしましょうね」と言われ、成田山へ向かったのは、それからすぐのことです。 車中は、季節はずれのせいか、ガラガラにすいており、車窓から入ってくる風が、隣にいる彼女の健康そうな甘いかおりを運んできます。その匂いを嗅いだ時「必ず生きて帰ってくる」と心に誓ったあの日のことが忘れられません。 昭和21年6月復員し、東京の下町の焼け野原に立ってみた時、彼女の面影がヒシと心を横切るも、その人はもういない。ただ、焼けただれた瓦礫の慄然たる光景に、呆然とたたずむばかりでした。 昭和20年3月10日、米軍のB29による大空襲で、東京の下町の大半が焼き尽くされたためです。 戦争とは無意味なもので、我々にとっては何らの価値もなく、マイナスでしかありません。数十万人の尊い命の代償に生まれた『憲法第9条』の改悪は絶対に許せません。 「今までの通りで良いのだ!」と声を大にして訴えます。60年後の3月記。 (品川)
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