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特攻機訓練を受けた先生
ある時、職員室に呼び出されて1時間くらいお説教を受けた。 先生は「大高!お前は毎回言う事を聞かない。戦時中だったら許されないゾ!」と言って自分の戦争体験を話してくれた。 太平洋戦争の末期、まだ10代だった先生はある日夜汽車に乗せられて着いたところは、宮崎県日向市のとある場所だった。 それから毎日毎日、小高い丘からグライダーのような物で目標物に向かって飛び降りる訓練を受けた。いったい何のためにこんな事をしているのかもわからず、知らされもせず、目標物に当らないと殴られた。そんな事を繰り返しているうちに、終戦になってしまった。 終戦からしばらく経って、日向での訓練は特攻機「桜花」のパイロットになるための数ヶ月だったことがわかった。 その話を聞いていた僕は訳がわからず「ヘェ〜」くらいの感じだった。しかしその後松本零士さんの戦争マンガ『コックピット』で「桜花」を描いた作品を読んで鳥肌が立った。 「桜花」は一式陸攻という型の飛行機で1トン近くの爆薬を積み、ジェットエンジンで音速を超えるスピードで、敵の戦艦や空母に体当たりする。先生は「桜花」のパーツになるところだったのだ。戦争はとんでもない物まで作り出す狂気の世界だ。 1時間のお説教の最後の言葉に「あと1年戦争が延びていたら、お前に説教なんかできる人間じゃなかったんだぞ!」 イラク戦争の報道を見ると、あの時のお説教の1時間を思い出す。 (練馬)
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