第2190号 2016年11月1日
天使の恋/寒竹ゆり監督
ケータイ小説というのをご存じでしょうか。WEB通信機能が携帯電話に搭載された2002年以降、当時は数少ないモバイルサイトのなかで生まれたサブカルチャーです。当時の携帯電話はもはやガラケーと呼ばれていますが、無料または有料で無名作家の小説が読めるとあって、若い女性を中心にブームが起こりました。内容は主に思春期の恋愛ストーリーが多いのですが、特徴と言えば、かなりリアルな描写があり「子どもに読ませたくない」ような社会のひずみともいえる出来事が主人公を中心としたストーリーにつづられている点です。
もう一つの特徴は、登場人物のセリフのやり取りが大半を占めている点で、文学的な読み手としての想像力に全く貢献しないところでしょうか。2008年1600PV(ページビュー)というかつてない記録をつくり話題となった。単行本は先行して売り出され2009年寒竹ゆり監督によって映画化されることに。
当時のファッション界のカリスマ佐々木希(理央役)を主人公に抜擢、ハンサム役は谷原章介(光輝役)。とってつけたようなキャストに笑う人もいるかもしれないが、二人の間合いは見事なものでした。
理央は高校ではいじめ、恐喝の主犯であり、自ら援助交際をしたり、友人を助けるふりをして、だましてその道に引き込んでいきます。あるとき偶然の出来事で光輝と知り合い恋をします。そのことで理央は悪事を辞める決意をします。仲間にすべてを打ち明けます。絶交されても仕方ないはずの仲間が理央の恋の手助けをするようになります。
> 記事一覧へ戻る