2017年1月20日第2198号
憲法と君たち/佐藤功
子どもも学べる憲法のお話
この本は子ども向けです。2016年8月12日「東京新聞」は「日本国憲法の成立過程で、戦争の放棄をうたった九条は、幣原喜重郎(しではらきじゅうろう)首相が連合国軍総司令部(GHQ)側に提案したという学説を補強する新たな史料を堀尾輝久・東大名誉教授が見つけた」という記事を書き、大きく話題を呼びました。現安倍政権は押し付けられた憲法は改正するとしていますから、この記事の話題性は必然だったと思います。
同年10月20日に本書が復刻新装版として発刊されました。今から約60年前、1955年に著者佐藤功によって書かれました。1955年といえば、当時保守政党として対等であった自由党と日本民主党の「保守合同」により「自由民主党」が結成された年です。「党是の第一条に憲法改正して自主憲法制定を目指す」ということでした。当然国会は、この新党の「自主憲法の制定の是非」の議論になり、改憲か、護憲かという議論が広まった時代でした。
「自主憲法」という表現から始まっているのは「米軍が作った」ということを前提とする言い方ですから、反発もありましたが、著者はそういう立場でなくこの憲法は自分たちを守るものだと、まず学びなさいと子どもたちに訴えるのです。
本文に「中学校の2年生か3年生の人なら、たぶんそんなにむずかしくはないと思います」と、この本がやさしい言葉で書いてあると前置きして、身近な野球やクラスメート、学級委員などのエピソードにたとえながら解説しています。(時事通信社1200円+税)
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