2016年11月20日第2192号
火花/又吉直樹
芸人を目指すという事
【本部・須賀哲也記】今回紹介する『火花』はお笑いコンビの「ピース」の又吉が執筆した作品である。
また、自身初の中編小説で見事に「芥川賞」に輝いたのは皆さんご存知のとおりだ。
これはさえないお笑い芸人徳永と破天荒な先輩芸人、神谷が売れっ子お笑い芸人を目指すまでの話である。
二人が初めて出会ったのは熱海の花火大会の漫才ショーだ。
一生懸命やっている芸人を尻目に皆、花火に夢中だ。徳永コンビは怒りを覚えたが言葉には出さずにステージを降りた。
そのあとに神谷コンビは「地獄、地獄」と繰り返す奇想天外な漫才をした。神谷の人間性に魅力を感じ師弟関係を結んだ二人、そして月日がたちお互いに出番も多くなり、深夜帯にレギュラー番組を持てるようになった。深夜帯のお笑い番組はまさに「人気芸人の証」しかし、ここから落ちてしまう芸人もいる。
しかし徳永のやっていた深夜番組は残念なことにめちゃイケにはなれなかった…。
その後、徳永コンビは解散し、一人になってしまった。徳永は友人の紹介で不動産屋に就職した。
神谷は借金が一千万円に膨れ上がり、失踪してしまった。1年後に再会して二人で温泉へ行って、この作品は終わりとなる。
最後のオチが謎である。一瞬どういうことなのかわからず、その後どういう事だったのか、長考したが、分からなかった。この意味不明なオチが気になる人は「火花」を読むことをお勧めする。面白い事は保証しよう。(文藝春秋・1200円+税)
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