第2193号 2016年12月1日付
許すな「タダ働き法案」
現在、国会では労働基準法改正案が審議されています。安倍首相は長時間労働是正をめざすとしていますが、その内容は是正とは正反対のタダ働きを可能にする「残業代ゼロ制度」であり、「過労死促進法案」です。
経済界にとって、成果で評価する賃金制度にするにしても、現在の労働基準法では労働時間規制条項から逃れられないことが問題になっていました。そうした経済界の要望を受けた安倍首相が、長時間労働是正のためと出してきたのが「高度プロフェッショナル制度」です。これは管理監督者ではないその一歩手前の労働者にまで労働時間規定の「適用除外」を広げるというものです。
管理監督者の手前の労働者は一番の働き手の層であり、労働時間も長いのが現実です。その労働者を労働基準規制の対象外にし、どんなに長時間働いても残業代を出さなくてよい仕組みにしようとしています。経営者は労働時間を管理する必要がなくなり、働きすぎて体を壊したり、過労死したりすることがあっても、すべて労働者の自己責任となります。そしてこの法案が通れば、「高度プロフェッショナル」の範囲や要件は国会の議決が不要な省令で決定されるので、容易に範囲・要件が下がることが想像できます。
これに対し、野党4党は今の労働基準法よりも罰則を強化した「長時間労働規制法案」を国会に共同提出しました。この法案では労働時間の上限規制や、勤務を終えてから翌日の勤務を始めるまでに、一定の休息時間の確保を義務付けたインターバル規制の導入を明記しています。
野党側も批判するように、政府案は「労働時間の正確な把握が困難になり、長時間労働を助長する」ものでしかありません。
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