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○ 建設アスベスト被害者を支援 東京土建とともに

首都圏建設アスベスト高裁第1陣 労働者性を訴える
EV工の弓削田さん(杉並)

 【本部・高見京子記】2月24日、寒さ厳しい中、首都圏建設アスベスト訴訟東京高裁1陣第11回期日(東京ルート)の行動を午後1時半から行いました。全体で300人、東京土建からは132人の参加でした。
 今回の裁判では、杉並支部の弓削田廣實さんが、一人親方の労働者性について陳述しました。弓削田さんは、長年エレベータ設置工として大手のビル現場で働いていました。ある時、合理化と人件費削減のため一人親方(手間請)として働く事になりましたが、事業所からの指揮命令を受け、毎日2種類の日報を提出していました。毎月の安全大会に参加し、年1回の健康診断は、会社の無料検診を受けていました。弓削田さんは、「この実態を労働者と言わずして、何が労働者でしょうか。是非とも救済をお願いします」と強く訴えました。

東京地裁第2陣 ブロック作業を証言
現役の清水さん(多摩西部)

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地裁前集会で横断幕を持つ原告団

 3月10日には東京地裁2陣の16回期日が行われました。全体で300人、東京土建からは116人が参加しました。裁判は、午前10時半から行われ、午前中には多摩西部支部の書記長、清水政廣さんが、ブロック工の作業の内容と現場での粉塵曝露の実態について話されました。
 ブロック工の原告は、残念ながら全て亡くなっており、証言出来る方がいない為、今回は実際現場でブロック工として働いておられる清水さんにお願いして法廷に立っていただきました。
 「新築工事では、ブロック間仕切りを設置する場所に鉄骨の梁がある時には厚く吹き付けられた吹き付け剤を削ってブロックと鉄骨梁を接着する作業をします。改修工事の場合は既存の間仕切の撤去後、新築工事と同様で、吹き付け剤をはがす作業を行います。上(天井)を向いてはがすため大量の吹き付け剤の埃が顔や首筋に降りかかり、作業が終わると体中がチクチクし顔が真っ白になっていました」と話されました。

遺族苦しみ法定で訴える

 午後1時からは、小金井国分寺支部の山城サワ子さんと台東支部の池田静枝さんが遺族としての苦しみを法廷の中で訴えました。
 両日とも法廷で傍聴出来なかった方は衆議院第1議員会館に移動し院内集会に参加し、私たちの要求に賛同している国会議員に3月14日の東京高裁1陣(神奈川ルート)の結審集会への参加要請で行動しました。

電話で受診勧奨
依然低い疾患への認識/大田

 【大田・書記・平山裕也記】大田支部労働対策部では、アスベスト肺疾患を罹った組合員に対してさまざまな支援行動を行っています。16年度中は5件の労災認定を得て、これまでに33件の認定を勝ち取っています。
 アスベストを吸入してからアスベスト疾患が発症するまでに20~30年掛かるため、建設従事者でも、いつ発症しても不思議ではない仲間が大勢いると思われます。
 大田支部では2016年12月から、その隠れた対象者に向けて、直接、電話掛けによる専門医への受診勧奨を行いました。
 土建国保によるレセプトチェックや、土建健診を受診した組合員と家族(40歳から74歳までの)の胸部レントゲンからアスベスト疾患の可能性が疑われる方、そして組合総合共済で傷病見舞金申請書を提出した方から、対象者を挙げて専門医を紹介しています。
 電話に対応した組合員や家族からは、「現在診てもらっている医師からはアスベストの指摘は受けていない」「30年前に吸ったことだから現在の病気には関係がない」などの声が寄せられ、アスベスト疾患への認識が依然低い実態をあらためて確認できました。
 支部では正確な診断をすることができる医師は全国でも限られていることや、これまでの支部の労災認定実績などを伝えるとともに、受診案内を行ないました。

よかった労災認定
現場はPC地図で特定

 【足立・書記・奥田八志記】稲村輝彦さん(51歳)は24歳から大工として働きはじめ、アスベストが原因の肺ガンが襲ったのは47歳の時。熱もないのに咳が出る症状が3カ月続き町の診療所へ行くと「総合病院で検査を受けたほうがいい」と言われ、総合病院では「肺ガン」の診断でした。手術を受け仕事に復帰、しかし1年半後、ガンが腰の骨に転移し現在も療養中です。
 労災事由の説明のために、稲村さんは時間の経過で具体的な事が思い出せないでいました。稲村さんはパソコンで地図と位置情報や画像がわかるサイトを見ていたとき、以前かかわった建物の画像を見つけ、マンションで内装解体のリフォーム工事をしたことを思い出し、石綿を吸った現場を特定できました。
 昨年12月に労災が認められたとき「認定されるまで医療費や生活費が不安だった。本当によかった」と語っていました。稲村さんが地図から記憶をたどった経験も活かし今後も、職業病の労災認定に取り組んでいきます。

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