建設業ではたらく仲間をサポート

FAX:03-5332-3972 〒169-0074 新宿区北新宿1-8-16【地図
メニュー

○ 核兵器保有、徴兵制も/稲田防衛相

若者全員が一度は自衛隊に

 憲法の平和主義と立憲主義を投げ捨て、国民に多くの義務を課す自民党改憲草案。この策定に関わり、第3次安倍再改造内閣で防衛大臣の要職に就いた稲田朋美氏の過去の発言に、草案の危うい思想が見えます。
 稲田氏は弁護士。中国での旧日本軍将校による「百人斬り」を著した元朝日新聞記者に対する裁判で、元将校の遺族らの代理人を務め、小泉首相の靖国参拝を批判した集団訴訟では、靖国神社を支援する側の代理人でした。
 2005年の総選挙で、安倍現首相に誘われ初当選。第2次安倍政権時、行革担当相で公務員制度改革を担い、14年秋、党政調会長に就任。
 雑誌『正論』(11年3月号)の佐藤守元空将との対談で、稲田氏は日本の核兵器保有は「短・中期的にはアメリカの核の傘を頼る、あるいはシェアすることで乗り切るにしても、長期的には日本独自の核保有を、国家戦略として検討すべき」と発言。
 徴兵制を「現状では必要ない」とたしなめる佐藤氏に対し、「教育体験のような形で、若者全員に一度は自衛隊に触れてもらうという制度はどうか。国防への意識を高めてもらうきっかけにもなる」と食い下がりました。野党だった当時、核兵器保有、徴兵制に前向きな姿勢を示しました。
 さらに『伝統と革新』(12年9月号)では、戦後憲法で確立された、平和主義、基本的人権の尊重、国民主権に関する認識を問われ、特別に反対しないと前置きしつつ、「ときにすごく空虚に聞こえるというか」「美辞麗句というか、空虚というか……。日本らしくないと感じます」と違和感を吐露。同氏の主張は「日本の国柄に合う憲法」です。
 憲法を改正し「国防軍」を明記した際の靖国神社の扱いは「憲法上で戦死者を認める以上、靖国参拝自体を合憲とできるような憲法にしないといけない」。靖国神社は戦前戦中、戦死者を顕彰する施設として、国民を戦地に送り出す役割を果たしました。

「神州不滅」とアナクロニズム

 『月刊日本』(04年1月号)掲載の弁護士時代のインタビュー記事では、靖国裁判などの話が展開され、最後に「靖国の英霊と同じように『神州不滅』を信じて今後も私なりに活動を続けたい」と表明。同年10月の第18回国民戦没者追悼中央国民集会でも同じことを述べました。戦前の軍部による、戦威高揚を目的としたスローガンです。
 最近では日本は天皇が2000年以上世界平和を祈っている国なので、世界中から頼りにされ尊敬される「道義大国」になる資格を唯一持つという奇妙な主張しています。森喜朗元首相はかつて、「日本は神の国」と発言。天皇を現人神とした戦前日本の礼賛に通じると批判され、辞任に追い込まれました。稲田氏が進める憲法改正がこうした主張の延長線にあるとすれば、自民党の改憲論議は非常に危ういと言わざるを得ません。

> 記事一覧へ戻る


電話:03-5332-3971 FAX:03-5332-3972
〒169-0074 新宿区北新宿1-8-16【地図