国による「建設業の社会保険加入」が進められていますが、これを機会に、初めて社会保険に加入した、もしくはこれから加入する会社も多いのではないでしょうか。
「社会保険に加入してほっと一息」といきたいところですが、じつは社会保険は加入してからが大変です。毎月の保険料の支払い、日常の加入・脱退手続き、算定基礎届など手続き面での大変さはもちろんですが、一番やっかいなのは「調査」ではないでしょうか。社会保険の調査は主に、①会計検査院の調査、②年金事務所の総合調査、③算定基礎届提出時の調査、があります。①、②はめったにあたることはありませんが、小規模事業者で最も多いのは③です。毎年7月に算定基礎届を提出する際に、帳簿の確認などが3年~4年に1度くらいあります。
求められる帳簿は、労働者名簿、出勤簿、賃金台帳、源泉所得税の納付書、などです。調査としては、社会保険の加入者と源泉所得税の納付人数の確認から行なわれ、未加入者のチェックが重点的に行なわれます。その際、働き方が1日の労働時間と1カ月の労働日数がともに一般社員の4分の3以上であるにもかかわらず未加入の場合、(場合によっては遡及して)加入させるよう指摘されます。
また、月額変更手続きがされていない場合や、賞与支払届の未提出なども重点的にチェックされます。さかのぼって手続きが発生した場合、遡及分もまとめて多額の保険料の支払いが発生する場合があります。
社会保険は、加入後の管理が不備だと調査の時に多大な痛手をこうむることが多多あります。今回初めて社会保険に加入した会社は、組合や社労士と相談、連携を取りながら、日常から適切な管理を実践していくことが大切です。
東京土建社労士ネット
社労士 高田 聡史
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