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○ 二人三脚で労災認定かちとる

 建設業は「職業病のデパート」です。作業中のケガのほか、今後もふえると予想されるアスベスト被害など職業病が多い職種です。組合と二人三脚で労災認定をかちとった仲間の声を紹介します。「もしかして」と思った仲間は組合に相談して下さい。

労働局の否認のりこえる
海老原先生の後押しも力に/練馬・園田政則さん


 【練馬・大工・園田政則記】18歳で熊本から東京に出て、大工一筋で働いてきました。
 2010年、組合加入時から毎年受けてきた健康診断で専門医による肺の精密検査を勧められ、港区の「しばぞの診療所」の海老原先生から胸膜プラークとじん肺所見が指摘されましたが、肺機能の低下や合併症が見られないため、年1回の検査で大丈夫とのことでした。その際「(アスベスト)労災を受ける権利を持っていることを忘れるな」という言葉が印象に残りました。
 昨年11月ごろからセキやタンがひどくなり、診察で「続発性気管支炎」を併発しているといわれ、労災申請をすることになり、非常にはん雑な申請書類は渡辺書記に手伝ってもらい、作成しました。
 申請から約2カ月後、「肺の汚れは管理区分2相当であるが、合併症(病気の症状)はなし、労災を否」とする東京労働局の決定に、海老原先生から「間違いなく病状があるので監督署に申請をするように」といわれ、監督署に労災を申請。労働局が否認したものを申請する前例のないケースをたたかいました。
 過去の就労先、現場の特定、さらには当時の賃金など立証が困難なものばかりでしたが、ここでも渡辺書記と協力しながら、なんとか作り上げ、無事に労災認定がされました。
 私の場合は、毎年の健康診断と健診結果から専門医に検査を受けたことが、早期発見、早期治療、労災認定につながりました。組合の健康診断は建設従事者の健康と命を守る内容です。健診で指摘をされたら必ず専門医の検査を受けて下さい。それが自分と家族を守る第一歩につながります。

手帳30冊で労働者性証明
細かく現場名や作業内容記入/墨田・長岡昭彦さん

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東京土建は防護服の仲間を先頭に原発いらないとアピールし注目を集めた

 【墨田・書記・長妻伸治記】昨年6月12日、長岡昭彦さんはじん肺による職業病認定をかちとりました。組合に相談してから約1年、職業病認定を受けるには「いつ、どこで」粉じんを吸引したか、職歴や作業歴を明確にしなければなりません。手間請である長岡さんはさまざま困難をご自身の努力と組合と専門家の協力でのりこえました。
 長岡さんは1941年、山梨県甲府市で生まれ、1959年、タイル工見習いとして入職。タイル貼りの下地作業でセメントを塗る作業でテリーヌというアスベストの粉を手で振りかけたり混ぜたりと、粉じんを浴びる毎日でした。
 1969年上京、会社勤めのあと85年から工務店やリフォーム会社から請負ようになり一人親方労災に加入。2015年、作業中息がすぐ切れ、セキも出るようになり、しばぞの診療所でじん肺所見ありと診断を受けました。
 じん肺は、長い年月をかけて進行することから、職業病労災認定を受けるには、職歴・作業歴のふだんからの記録が重要です。社員の場合、厚生年金の加入期間等で事業所に所属していたと証明できますが、長岡さんのように手間請として働いている場合、「労働者性」がなかなか認められず、作業歴を証明するのが難しいといわれています。
 しかし、長岡さんは独立してからは「現場名や作業内容」を毎日組合員手帳にこと細かに記入、その数約30冊。その他に担当書記のアドバイスで以前勤めていた会社や工事した建物に足を運び写真を撮るなど、自分の職歴・作業歴を証明。2015年2月に向島労働基準監督署へ職業病労災給付申請書を提出し、6月12日給付決定となりました。
 長岡さんは「組合にこんなにお世話になるとは思わなかった。息苦しさにとても仕事ができずに困っていた。支部・本部の書記には本当に感謝している。この経験を一人でも多くの仲間にしってもらいたい」と語っています。

給付日額が2倍に
労基署判定くつがえす


 【中野・書記・森千秋記】Sさんは約40年イスの製造や取り付け作業を行なう中、製造時に麻袋から出るほこりやゴミの粉じんが体をむしばんでいきました。2010年じん肺との診断、年年病状が悪化、2013年に初めて中野支部に相談がありました。
 その後、Sさんは治療に専念、労災認定へ一緒に手続きを進め、2015年2月に労災認定。しかし、日額5641円という低い金額、これは申請した事業所ではアスベストを使用していないとの見解で、20年以上前に働いていた会社が最終ばく露事業場なったからでした。
 これでは生活が成り立たないと、審査請求をしようとした矢先にSさんが亡くなりました。意志をついだご家族と(1)事業所では古い家具などの補修した、(2)古いイスはアスベストを輸入した麻袋を使用し、粉じんがすごかった、(3)具体的な現場名、(4)事業所に過去も労災認定者がいると労働保険審査官と交渉した結果、2016年3月に最終事業場が直近の(申請した)事業場で決定し平均賃金1万1749円をかちとりました。
 これは、ご家族があきらめずにがんばったことと、同じ会社の仲間の協力があったからでした。困ったら、どんな小さなことも、組合を頼ってください。「家族だけではとてもできなかった。組合に入っていてよかった」という言葉が一番うれしかったです。

労災打ち切り組合に相談を

 治癒や症状固定の場合、労災保険が打ち切られることがあります。しかし、病状経過や治療行為など総合的判断でされるものです。打ち切りの場合は労基署から連絡がありますが「なまハンカな返事」「郵送物の放置」など承諾ともとらえられますので、組合に相談を。

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