三たび国の責任認める
製造禁止の規制時期も前進
大阪地裁、勝訴判決の旗出し
1月22日、大阪地方裁判所第16民事部(森木田裁判長)は建設アスベスト被害に対し、国の責任を認める判決をいい渡しました。国の責任が認められたのは、東京地裁、福岡地裁に続く3回目です。
今回の判決では、国の違法原因として、これまで認められていたマスクの使用義務づけと警告表示の規制権限不行使に加え、初めて1995年時点において白石綿(クリソタイル)を含むすべての石綿の製造等を禁止すべきであったと判断しました。
他方、一人親方については認められず、また、企業責任についても共同不法行為の成立を否定しました。これらの点は絶対に許されるものではありません。
従事する事業所の都合で一人親方化されている請負労働者まで労働者に該当しないとする判決は、建設産業の雇用実態を無視し、石綿被害に苦しむ被害者、遺族、家族の悲しみや苦しみをかえりみないものです。
大阪判決にあわせ厚労省前で解決をせまる
また原告被害者がそれぞれ暴露した可能性が高い建材をたんねんに特定してきたにもかかわらず、被害者が従事した建設現場で石綿含有建材を製造販売した企業を原告側で特定できていないとして共同不法行為を否定したことは不当といわざるを得ません。
しかしながら、今回の判決は3度国の責任を認めたことに意義があります。またすべての石綿の製造等を禁止する規制権限を行使しなかったことが違法であると判断した点も重要です。
今回の判決をもって、国の責任を認める司法判断の流れは動かしがたいものとなりました。今こそ、国が率先して、建設作業従事者のアスベスト被害を救済する補償制度の創設を行なうべきです。
大阪訴訟の原告は提訴後4人の被害者が亡くなりました。現在は被害者19人中13人が遺族です。全国でも毎年建設従事者からアスベスト被害が発生しつづけています。今こそ「命あるうちの早期解決」に向けて政治による解決が待たれています。
首都圏建設アスベスト訴訟の高裁判決が最終段階に入りつつあります。大阪、そして1月29日の京都判決を受けて大きな世論をつくり東京高裁を包囲しましょう。すべての支部で宣伝行動に立ち上がることを呼びかけます。