東京災害対策連絡会世話人 末延渥史
いつ起こってもおかしくない首都直下型地震。東日本大震災を教訓とした防災、減災の取り組みの現状とこれからどのようなことが求められているのかについて東京災害対策連絡会世話人の末延渥史さんに寄稿していただきました。
五輪に向け開発優先
再来ある巨大地震と津波
東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた岩手県大槌町
東日本大震災から5年。いま、東京ではアベノミクスに連動した2020年オリンピックや国際戦略特区などの大改造計画がすすめられ、ヒト・モノ・カネが東京一極に集中させられています。その一方で、被災地では、いまなお、7万人を超える人が劣悪な応急仮設住宅におかれ、18万人を超える人びとが全国で避難生活を強いられているのです。被災者の生活もまちの復興も産業も経済も置きざりにされているのが現実です。
この東日本大震災で、国と東京電力は「想定外」といいわけをくり返しましたが、実際には、869年に同規模の巨大地震と津波(貞観地震)が発生していたことがしられており、東日本大震災の前に、中央防災会議や国会でその再来が指摘され、警告が発せられていたのです。この警告に耳を傾けていれば、あのような災害を未然に防ぐことは可能でした。
生かされぬ痛苦の教訓
一方、首都直下地震の切迫が指摘されている東京では、この痛苦の教訓はどのように生かされているのでしょうか。この間、地震のメカニズムや震源・規模といった地震の科学的解明は大きく前進しましたが、残念ながら、被害の想定については、人命や都民の生活よりも首都機能の維持・確保が優先され、人的被害や大都市固有の被害などが過小に評価されたものとなっています。これでは「想定外」の巨大災害の発生は避けられません。
同時に、防災の取り組みをすすめるうえで、障害となるものとして、小泉政権が防災の分野に持ちこんだ市場原理の考え方やそれに基づく「自助・共助」を基本とする施策の展開を指摘しなければなりません。
住宅の耐震化は自己責任か
たとえば、中央防災会議は、首都直下地震にあたって、建物などの耐震化を100%達成することで、建物の「全壊棟数と倒壊による死者数」を9割削減できること、感震ブレーカーなどの「電気関係の出火防止及び初期消火成功率の向上」で死者数・建物焼失を95%にまで減らせることを明らかにしていますが、肝心の東京都は、この建物耐震化などについて、自助=自己責任だとして事実上、放置しているのです。実際に、静岡県は木造住宅の耐震化助成で1万件を超える住宅の耐震補強を実現しているのに、東京都はわずかに1000軒程度に過ぎません。
また、東京都がオリンピックと防災を名目に3500億円も投じて建設を強行している都市計画道路特定整備路線(28路線)では、幅20~30mの大型道路によって住民が追いだされ、住宅街や商店街が分断・破壊されますが、その一方で、住宅の耐震化は自己責任とされているため改善はすすまず、このままでは、この道路に囲まれたなかの住宅は燃えるにまかせるということになりかねません。
真の自助と公的責任
東京土建の取り組みに期待
救命講習に取り組む各支部の仲間たち
地震の備えにあたって、住民が自らの命を守ること、地域が協力しあって災害の発生に備えることは当然のことです。と同時に、行政がその取り組みに積極的にかかわり、公的責任を発揮することが不可欠です。
にもかかわらず、自治体の多くは「自助・共助」を錦の御旗にして、「災害時要支援者の対応は、町会におまかせします。行政は責任を負いません」などといって、公的責任を事実上、放棄しようとしているのです。
一方、町田市のように、初期消火に有効な軽可搬消防ポンプ一式を、地域の自主防災会の女性消火隊に貸しつけることを実施している自治体も生まれています。
地域の消防団や町会・自治会、自主防災組織などと、東京土建のみなさんのような専門職の集団が連携して、さらに、行政にも公的責任もしっかり果たさせることで、地域での取り組みが生きたものとなるのではないでしょうか。
こうした点で、東京土建の仲間のみなさんが、災害時の「労務提供」「資機材の提供」「公共施設の応急修繕」「応急仮設住宅の建設」などの「災害協定」を30の自治体と締結していること、「地域と協働して安全安心のまちづくり」をすすめることを目的にした「まちの救助隊・チームNAMAZU」を結成していることなどは、本来の意味での「共助」を推進する大きな力になるものと期待しています。
ぞくぞくとナマズ誕生/府中国立・村山大和
【府中国立・書記・吉田健一郎記】11月15日、「チ‐ムなまず結成式」を府中国立支部会館で隊員代表45人参加、来賓10人を迎えて盛大に開催しました。
国立市からは、行政管理部長や市議会議長、府中市からは防災課長(地域の防災減災)や消防署(地震に対する備え)による講演、市議会からは自民党、共産党、維新の党、東京土建本部からは松丸仕事対策部長などにご出席いただきました。
地域住民、行政から信頼される東京土建の存在が、いま注目されています。
【村山大和・書記・植木博一通信員】村山大和支部「チームなまず」の結団式を、12月6日、武蔵村山市民会館で行ないました。来賓に東大和市長代理の鈴木俊雄総務部参事、武蔵村山市長代理として鈴木浩防災課長、内野武蔵村山市議会議員、本部より松丸仕事対策部長ほか担当書記2人に参加いただき、参加者は45人でした。
渡辺委員長より相山仕事防災対策副委員長に「任命書」をわたしました。相山副委員長の決意表明を受けて結団式は終了しました。
墨田には女子のハンマーズ
10月11日、35回を数えるすみだ住宅まつり。墨田支部の自主防災チーム「ハンマーズ」が出動、男性メンバーが実演するそばに、Tシャツと物干し竿で作った担架で被災者を運ぶ女性たちの姿がありました。ハンマーズ女子(以下、ハン女)の皆さんです。
「ハンマーズの『熱い』活動ぶりを目の当たりにして、『自助』という観点から女性ができることをしりたいと思いました」と話すのは藤川真奈美さん。ハン女のメンバーで墨田の主婦の会会長でもあります。AED講習、ハンマーズ講習会で災害時のシュミレーションを設定した「防災ゲーム」などに取り組み、スキルアップもしてきました。
「ハン女のメンバーは15人ほど。ハンマーズに学び、仲よくやりたい」と藤川さんは意気盛んです。
活躍するハンマーズ女子