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○ 建設産業で働く仲間が主人公になる2016年に

書記長 白滝誠
技能工不足さらに深刻
賃上げと処遇改善が不可欠

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白滝誠書記長

 仲間の皆さん、読者の皆さん、明けましておめでとうございます。新年にあたり、昨年をふり返ってみて、今年はどんなことを重視して組合運動をすすめるのか、ともに考えたいと思います。
 建設産業をめぐっては、20年東京五輪へ向けて技能工不足が深刻になってきます。専門工事業界の努力や行政などによる入職促進、訓練への支援が一定の効果があって、このところ従事者数は若干の増加傾向にあります。
 しかし鉄筋、型枠では5割、内装でも3割ほどの業者が「今後不足する」と見ており、特に若年者の定着は困難で、高卒後3年以内で5割が離職している実状があります。製造業の3割を大きく上回っています。賃上げや処遇改善、現場環境整備、訓練制度が不十分なことが、若者を遠ざけているのです。
 多くの建設企業経営者が新設工事のピークは19年で、それ以後は減少に向かうと予想しています。その後は新設から維持修繕、リニューアル工事へのシフトを見こんでいます。そうであれば、しっかりと訓練を積んだ優秀な技能工、地域から信頼される経験豊富な事業者が求められてきます。今後数年間で技能工を育て、中小業者を支援する制度や政策の充実が必要なことは明らかです。
 組合としても賃上げはもちろん仕事確保、就労と訓練の支援、福利厚生の拡充をめざす運動に重点を置いていきます。この取り組みの中で組合加入をふやし、ふえた力で運動を推進することが大切になります。


社会保険料の請求要求もっと大きく
あと1年の社保未加入対策

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請求要求で現場の賃上げを(業界新聞)

 社会保険未加入対策は足かけ5年が経過、最終期限とされる17年まであと1年に迫りましたが、躯体関係の労働者単位では2割程度の適用にとどまっています。要因は保険料相当額が行き渡っていないからです。職人・労働者を社保適用義務のない「外注・一人親方」にする傾向も問題です。昨秋の大手企業交渉では、建設国保を含む保険料相当額の請求の妥当性について追及すると、少なからぬ企業で支払いを認める、検討する、といった回答を得ています。下請事業所からの情報でも、保険料相当額を含む経費支払いを受けた事例が広がっています。建設国保・土建国保を社会保険と同様にみなすことについては、国土交通省が再三認めています。組合と土建国保に入って厚生年金と雇用保険を適用し、必要額を組合とともに上位企業に請求要求する取り組みを広げていきましょう。

根本は圧倒的な力関係

 くい打ち工事データ改ざん事件は大変残念なことです。くい打ち企業と担当者の行為は許せませんが、見逃してならないのは、発注者が引き渡し厳守の短い工期を設定し、元請が下に圧力をかけ「重宝するのはいうことをきく下請(日経)」というような力関係こそが問題の根本です。規制緩和で行政点検が甘くされてきたことも要因の一つです。建設産業の信頼を回復し「人が育つ、明るい建設産業と現場」をめざして、東京土建は中小業界とも「大同団結」し、建設産業を働くものが主人公になる運動に全力を挙げるものです。


戦争のための工事しない
廃止へ幅広く共同

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くい打ちの問題の根はものいえぬ関係(写真の現場は関係ありません)

 政治分野では、「安保関連法=戦争法」を政権・与党が強行採決したことが大問題です。同法は憲法違反が明白であり、国民世論は圧倒的に反対です。アジア太平洋戦争では建設従事者が大量に戦地へ送られ、基地や軍港、塹壕(ざんごう)・砲台などの工事に使われて多くが戦死しました。東京土建は「建設労働者は二度と戦争のための工事はしない」との誓いを新たに、反対の立場で大小の集会・討論会、無数の宣伝行動に全都全域で取り組みました。
 法施行がされる4月以降は、海外で自衛隊の武器使用(発砲)が可能になり、米軍の作戦に兵たん活動(弾薬、兵員、物資食料を戦地に運ぶ)で加われます。相手国からの反撃の危険性は増大し、日本が戦後71年目に「戦争する国」に変質します。さらに危険なのはISテロに乗じて、戦前の治安維持法にも匹敵する「共謀罪」創設、国会審議を経ずに内閣が立法権を持つ「緊急事態条項」を憲法に加えるたくらみが、政府与党から起きていることです。
 しかし戦争法廃止、憲法と国民主権を取り戻そうとする運動は全国からわき起こっています。学生のシールズ、高校生のティーンズソウル、母親の「ママの会」、学者文化人の「立憲デモクラシーの会」など、従来の労働運動や平和運動の枠を超えて市民運動が大きな力を持ちました。日本に民主主義が成長している証拠です。今年夏の参議院選挙は「戦争法を廃止する国会」へ大きく進め、明文改憲を許さない勢力を伸ばすことが最大の焦点です。熊本県では野党統一候補が合意、さらに各地に広がる勢いです。東京土建も市民運動と連帯して戦争法廃止の草の根共同をつくっていきます。


今年こそ1%増勢
運動をになえる組織へ

 経済分野では「新3本の矢」を掲げたアベノミクスですが、景気も生産も回復していません。大企業だけ利益率更新を続けているものの、賃金は低迷、非正規労働者がふえ続け、格差は広がるばかりです。法人税を減税の一方で、財源の手立ても定まらない消費税の軽減税率は批判回避でしかなく「横綱のネコだまし」以下です。10%は断念すべきです。零細な免税業者・商店には混乱と不利益をもたらします。マイナンバーにTPP、庶民のくらしと営業に大打撃を与えるものばかり。こんな悪政から国民主導の政治に変えましょう。
 東京土建は昨年3月の大会で「総合5カ年計画」を立てました。今年は本格実践の年です。国のリフォーム業者規制と通販や家電の異業種参入から町場を守る職域防衛、リフォームパートナー協議会(リカコ)を拡充すること、社会保険加入促進と賃上げ・請求要求運動、公契約条例制定自治体を広げ、業界・現場・企業内での労働協約にすすむこと、人が育つ訓練支援活動の展開、アスベスト裁判勝利と被害の根絶と補償制度の獲得、土建国保を守り健康増進事業の前進などの課題が山積です。運動と事業を推進するには、東京土建が建設産業と地域社会に影響力を高める必要があり、その主体を担う強大な組織が欠かせません。今年こそ1%の組織増勢めざし、皆さんのご協力をお願いいたします。

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