松本晃子さん/多摩・稲城
母として職人として技能者として生きる
女性が働ける現場とは 子育てあるから仕事ができた
地元の稲城市大丸の塗替工事現場で作業する松本晃子さん
「なでしこ大工」「けんせつ小町」、建設産業では官・民あげて女性の活躍推進をめざしています。実際に現場で働き、昨年、1級技能検定に合格した松本晃子さん(多摩・稲城・塗装)に女性としてどのような思いで仕事をしてきたかおききしました。
塗装の仕事を始めたきっかけは中学・高校のときにおこづかいがほしくて始めた実家のアルバイトでした。掃除からやっているうちに、だんだん仕事ができるようになり、重宝されました。短大にすすみましたが、授業が少なく、半分学校半分仕事の生活で、自動車免許も取って仕事でクルマを運転し、ますます職人らしくなりました。
短大卒業後、就職は超氷河期で、子どものころから続けていたピアノの関係も、まったく求人がなく、実家の江田塗装店に就職することになり、この道一筋で働いてきました。
塗装の一級技能検定は、別の会社で塗装工をしている夫のすすめもあり、1級と2級合わせて120人位受験者がいましたが、女性は私一人でした。自信はなく不安でしたが、結果は合格。父の実技指導のおかげです。
技能士の資格をとったのも、現場に女性が出ていると、よく思わないお客さんもいて、ちゃんと資格も持っているということを示したかったからです。しかし、実際に女性が現場で仕事を続けることは大変です。
子どもを保育園へ入れたころから8時から5時という働き方はできず。9時に行くのも大変でした。出産のときも2年位休んでいますし、現場へ復帰できるのか心配でした。でも、身についていることは、やればちゃんとできるんだなと思いました。
女性だから器用だといってもくれます。団地のリフォームで、建具一本といった細かい仕事もします。
できる作業いくらでも
松本さんご一家、晃子さん、昭彦さん、
莉歩さん(左)、彩那さん(右)
男性とは体力に差がありますが、女性にできる作業はいくらでもあります。女性が現場にいないのは入り口の問題、保育士が子ども抱えて走るよりは、体力は要らないだろうし、建築イコール男と思われているからではないでしょうか。
仕事を続けて来れたのは、まわりのサポートがあってのことですが、第一は子どもです。仕事がおろそかになってはいけないと思いながらも、子どものことをまず考えます。その辺の兼ね合いがむずかしいです。でも子どもがいるからがんばれるんです。
組合もっと実態発信を
組合にめざしてもらいたいことは、職人の地位向上です。学校へ行くと違う職業の人がほとんどで、たとえば有給休暇がないことを驚かれ、自分がびっくりしちゃいました。建設労働者はこういう立場ですと外ヘアピールしてもらいたい。休むと給料がないことや、休みが日曜だけというのもしられていません。
現場に女性のトイレなどできて、現在働いている女性は助かっていますが、これからこの仕事に就こうとする女性にとっては、そんなこともできていなかったのかと逆に不安になるのではないでしょうか。
女性に働きやすい職場にするには、8時~5時でなく、時間が選べたり、短時間や週3日とかいろんな働き方ができたらいい。そうすれば子どもを産んでも仕事ができると思います。今も8時までに現場に着きません。子どもを送り出すと8時をまわります。
職人はもっと発信するべきです。