条例見直しの議論重ねて
多摩市の公契約現場で業者の皆さんに説明会を行なった
【賃金対策部発】多摩市公契約条例は2012年に施行し、3年運用を経て、昨年度来より条例見直しの議論をすすめ、15年度より熟練者以外の賃金下限額基準を軽作業員単価および市場動向で988円としてきました。多摩市と一部地域の条例に、賃金下限額に対し2つの設定(熟練者とそれ以外の者)があります。
熟練者以外とは、見習い・手元となりますが、公共工事設計労務単価(以下、労務単価)は市場調査に基づき、単価が設定され、その調査が公共事業労務費調査(以下、調査)といわれます。調査の考え方と、公契約は密接な関係があり、すべての自治体で賃金下限額基準を労務単価が活用されていることから整合性が必要になります。
調査の考え方では、大まかであるも熟練者の定義を示し、見習い・手元等は原則として調査対象外となります。ただし、「各職種の作業について補助的業務を主に実施した場合…応じて普通作業員、軽作業員等に分類する」とされます。その点から労務単価を活用できるのは熟練者です。
軽作業員の作業内容は、(1)軽易な清掃や後片付け、(2)現場内の軽易な小運搬、(3)散水などの軽易な作業や補助者を熟練者とします。
現場作業で補助的作業者を軽作業の熟練者、それ以下は見習い・手元となりますが、このあたりは審議会での議論の積上げから現場啓蒙活動が必要と考えられます。
小さく産んで大きく育てる
10月8日、審議会で第1回の市長答申。委託の賃金下限額は条例上で標準的な賃金とし…生保費を下回らない903円となっていました。委託業務は(1)施設または公園管理運営業務、(2)施設、下水道管渠等の清掃業務、(3)街路樹等の維持管理業務、その他6つの業務と指定管理協定が掲げられています。
変更議論の視点は、ⅰ統一となる下限額の変更、ⅱダンピング規制、ⅲ下限額と最賃のかい離、ⅳ生保基準の脱却等が出されました。
特に業務(1)~(3)は事業者調査、関係当局のヒヤリングによって下限額がダンピングの抑止力効果がない実態から、(1)を965円、(2)を1280円、(3)を1000円の時給とし、実施できる範囲から職種別賃金の設定を答申しています。また、その他の業務を946円、週25時間未満労働の学童業務は930円をあわせて答申しています。
委託分野でひらいた職種別賃金は建設分野でも労働協約をめざす上で賃金基準への道筋に展望が持てる内容となりました。また多摩市では課題点の整理から、次へ活かすため、「対応方針」が毎年、審議会で確認されています。小さく産んだ条例が使用者・労働者の実態を踏まえ、公契約にかかるすべて者の理解と協力で大きく育てています。