東京土建について
1、東京土建とは
東京土建は、日本が第二次世界大戦で降伏した1945年の2年後の1947年1月15日に、石工と大工、塗装工、左官などわずか35人で結成されました。東京土建の組織方法は、日本のほとんどの労働組合が企業ごとに組織されているのに対し、建設業であればだれでも加入できる産業別個人加盟で「政党支持の自由」「思想信条・宗教の自由」を掲げたスタイルをとりました。しかも職場ごとではなく組合員の居住地を基本に都内36の地域に支部を設置しその中に537の分会を設け、さらに町名ごとに細分化した9411の群に組合員一人一人が所属しています。結成から73年、現在の組織数は11万人に達し、建設従事者の組合としては日本最大。単一の労働組合としても日本でJP 労組、NTT 労組に次ぐ規模にまで成長しました。
2、闘ってきた運動の歴史
当時の建設労働者は、ケガをしても病気になってもなんの保障もなく「ケガと弁当は自分持ち」といわれ「塵肺になっても職人の宿命だから仕方がない」とあきらめさせられていました。そんな建設労働界にあって、真っ先に取り組んだのが、硅肺(今の塵肺)に対する保険適用と建設従事者の健康保険加入を認めさせる運動でした。さらに、ケガによって休業し、生活費に困窮する仲間を救うために一人親方労災保険制度を作らせました。また病気によって生活が困窮する仲間をみんなの助け合いでまもるために休業保障と葬祭費の支給を中心とした組合総合共済制度の設立を行い、最近では、自動車共済・火災共済・自転車共済なども取り扱っています。近年、アスベスト(石綿)による組合員の健康被害が増大し、肺がんや悪性中皮腫に苦しむ仲間の職業病労災認定も進んでいます。さらに、首都圏建設アスベスト訴訟では、2020年9月4日の東京地裁判決までに国に14連勝、建設企業に勝訴、一人親方も国に勝訴の判決が出され、アスベスト被害者の完全救済とアスベスト被害の根絶のため奮闘しています。
3、組合員サービスの拡充
東京土建は個人加盟であり建設業に従事していれば加入できるため、事業主や一人親方(一人で工事を請け負う人のこと)も大勢加入しています。そのため職人向けの運動や業務だけでなく、事業主に対するサービスとして、事業の収支決算、税金申告、公共工事入札補助、労災保険、雇用保険、社会保険、現場賠償保険、求人情報、技術講習、市民からの建築相談、仕事の受注・施工なども行っています。
4、地域の市民ともに歩む組合として
東京土建は、地域ごとに組合員が所属されている強みを発揮して、地域の町会や自治会、商店街、自治体などと協力して、住宅デーやどけん祭りを年に数回実施しています。来場者は、年間延べ10万人を数えます。こうした取り組みによって住民と東京土建とがお互いに信頼関係を築き、小学校の技術の授業に組合員が指導に行く、地域の子供祭りで工作教室の講師として呼ばれるなどの地域が大幅に増えています。都内36の自治体と災害時協定を締結しています。
5、東京土建の今後
東京都には約40万人の建設従事者がいるといわれています。私たちが組織したのはそのうちの約3割に過ぎません。早期に12万人の組合を建設し、建設業界の中での多数派となることができれば、賃金単価の相場を動かす力や大手企業の横暴を抑制する力を得ることができると確信しています。わたしたちは、そのために組織の拡大・強化に一番のエネルギーと資金を投じています。 建設産業が若者にとって、魅力のある賃金と労働条件になるように、そして流した汗が報われる社会めざして頑張っています。
6、グローバル社会に向けて
世界のグローバル化に伴い、労働者の働く環境や待遇は、全世界的に悪化しています。東京土建は、職業病対策や平和運動、最低賃金運動などで世界の国々の建設労働者と交流し、研究しあい、また協力し合う準備をインターネットなども駆使しながら早急に整えたいと考えています。