民間損保の保険料値上げや制度改定で、高まる組合の共済の優位性
「加入していた火災保険が驚くほど高くなるので土建に切り替えます」という声が昨年秋ごろから共済会に寄せられるようになりました。損害保険各社は、東日本大震災以後の台風や豪雨被害による保険金支払額の高額化により経営が悪化、この間数回にわたり保険料の改定をおこなってきました。2018年度の自然災害に伴う支払額は、過去最大の約1.5兆円(地震被害除く)、2019年度も1兆円を上回ったと言われています。
今年10月も火災保険の制度改定が予定されています。改定のポイントとどけん火災共済の優位性を見ていきます。
1・火災保険料の値上げ 値上げ幅は全国平均で10.9%の予定
火災保険料は2019年10月、2021年1月と値上げされ、今回の値上げ幅は近年一番大きな値上げ幅になるといわれています。地震保険も2017年、2019年、2021年と値上げされてきました。
なお、2023年度以降、地域別の保険料を導入することも計画されています。浸水や土砂崩れなどの地域別のリスクの大小を保険料に反映させる計画で、企業向けには、河川の近くなどの浸水リスクの高さに応じて保険料が2倍程度、個人向けも1.5倍程度の差がつく見通しのようです。
2・10年契約の廃止、最長契約が5年に
割安といわれた10年の契約期間は廃止され、最長の保険期間が5年になります。契約期間を長くすることで、割引率を高く設定した安い掛金の保険料商品を販売してきました。しかし、近年の地球温暖化により自然災害の将来予測に不確実な要素が増えて、10年先のリスク予測が難しくなってきています。プランによっては、値上げよりもこちらの方が家計に対する影響が大きい場合もあるといわれています。もう一つは、今のまま長期契約を継続した場合、保険料を値上げしたとしても収支の改善に時間がかかるということも大きな理由です。
3・災害以外の家財補償、自己負担額を大幅引き上げ10月から5万円に
損害保険大手4社は火災保険の家財補償について、今年10月から契約者の自己負担額の最低金額を引き上げる予定です。日常生活の事故による破損や、給水管の破裂による家財の水浸などの被害に対しては、自己負担額が5万円に引き上げられることになり、契約者の負担が増えることになります。
4・組合の自主共済制度の優位性を広げる対話活動を
組合では、年間を通じた組織拡大強化活動にどけん火災・地震共済の加入促進を中心にした、組合の共済制度を紹介する活動に取り組んでいます。今年の秋も新型コロナウイルス感染対策をおこない以下の優位性を紹介する「対話による共済推進」に取り組んでいきます。
■どけん火災共済の優位性
①1999年9月以来、変わらない安い掛金
組合の共済活動は、仲間どうしのつながりを強める組合運動そのものです。産業と地域に影響力を発揮できる強大な組合づくりにはなくてはならない大切な活動です。掛け金の半分を上回る給付予算や制度運営に必要な経費と組合共済制度改善につながるような財政運営をおこなっています。損害保険会社のように利益を得ることを目的にしていないので、1999年9月の制度発足以来一度も掛け金の値上げをおこなわず運営してきました。最大保障額10万円当たりの掛金が、木造で火災共済60円/口、地震共済330円です。
②運営の透明性と加入者の要望に応えるために1年ごとに運営
どけん火災・地震共済の補償期間は、会計年度と一緒で1月から12月までの一年間としています。組合活動と同じ一年ごとの収支報告や制度運営の総括、制度改定もおこない外部からの干渉を受けず主体的で自主的な運営をおこなっています。
③給付を受ける際の自己負担はありません
どけん火災共済では給付金の自己負担額は設けていません。組織の確立強化と組合員の生活再建の支援を目的としている自主共済制度の優位性です。
※第三者からの直接加害行為による被害は、1万円以上を給付対象としています。
④その他の優位性
1)66%の被災で全焼保障
どけん火災共済は66%以上の被災で全焼給付としています。特約などによる違いがある場合もありますが、他の共済や保険では70%から80%以上の被災を対象にしている制度がほとんどのようです。
2)幅広い保障
火災などによる損害に加え、①破裂、爆発による損害②落雷による損害③車両の突入による損害④自然災害による損害などを給付の対象にしています。
3)他の制度の劣らぬ自然災害の上限額
どけん火災共済は、自然災害での全壊被害は450万円。大規模半壊は250万円を上限としています。
4)加入時に満額加入しなくても給付時の減額はありません
どけん火災共は、加入時に満額はいらなくても契約した補償額まで給付されます。
仲間の助け合い制度をさらに発展させよう
どけん火災共済は、火災被害以外の自然災害、漏水、第三者加害行為など、幅広い被害に対応するものです。多発する大雨・暴風雨被害にあった組合員の生活再建に、はなくてはならない共済制度です。
仲間同士の助け合い制度をさらに充実・発展させるため、多くの組合員のご協力と制度利用をお願いします。
(2022年7月・東京土建本部・どけん共済会)